血管内焼灼術

レーザー治療(血管内焼灼術)とは

血管内焼灼術レーザー治療は、身体に優しい最先端の下肢静脈瘤の治療法です。日本語では血管内焼灼術と呼ばれますが、医療の世界では“血管内レーザー治療(endovenous laser treatment: EVLA)”と言います。レーザーの熱によって静脈をふさいでしまう方法で、静脈の中に細いレーザーファイバーを通して行います。
ストリッピング手術では強い痛みや合併症の可能性がありましたが、レーザー治療は中から静脈をふさいで血を流れなくするので、出血や手術の後の痛みが少なくなります。また、ストリッピング手術では足のつけ根と膝の2ヶ所を切開して太ももの血管を引き抜きますが、レーザー治療では膝の内側に細い針を刺して、そこからファイバーを通し、焼いて塞いでしまうため、“低侵襲治療”で体に優しいのです。

レーザー治療が保険適応になりました

レーザー治療が保険適応になりました当クリニックでは、保険診療で下肢静脈瘤の治療が受けられます。初診料、超音波検査、術前検査、治療後の消毒や検査もすべて保険が適用されます。万が一、治療後に合併症が起きた場合も、保険で治療が可能ですので、ご安心ください。
日本における下肢静脈瘤のレーザー治療は2002年にスタートしましたが、健康保険が使えなかったため高額な自由診療でしか受けることができませんでした。下肢静脈瘤のレーザー治療の保険診療が可能になったのは、2011年1月1日です。なお、下肢静脈瘤の治療用として薬事承認されたレーザーを導入し、レーザー治療の講習会を受講した医師がいる病院あるいは診療所の条件が満たすことで、保険診療が可能となります。

 

レーザー治療(血管内焼灼術)の特徴

日帰りで治療が可能です

下肢静脈瘤の血管内レーザー治療は、入院の必要がありません。従来のストリッピング手術は、下肢静脈瘤の原因となる血管をそのまま引き抜くという手技のため、どうしても術後の痛みや出血は伴います。しかし、血管内焼灼術は、切開創が数mmで済み、そこからレーザーファイバーを通して、血管を内側から焼灼します。局所麻酔(TLA麻酔)下で治療は行いますので、術中の痛みはほとんどありません。術後の出血、痛みもほとんどなく、当日はそのまま徒歩でお帰りいただくこともできます。

綺麗な見た目に仕上がります

レーザー治療は、血管内に細いレーザーファイバーを通して治療をするため、大きな切開を必要としませんが、患者様の進行状態によっては、ふくらはぎの蛇行した静脈瘤が完全に消えない場合があります。その際には、特殊な器具を使って瘤を取り除くスタブアバルジョンという方法か、硬化療法を併用することで、ぼこぼこと膨らんでしまった瘤も取り除くことができ、より精度の高い治療が可能です。スタブアバルジョンは1~3mmほどの極小切開をするだけですので、術後の傷もほとんど目立ちません。治療後は、下肢静脈瘤が発症する前の綺麗な見た目に戻ります。

血管内焼灼術のメリットとデメリット

メリット

  • 体に与えるダメージである侵襲が極めて小さい。
  • 施術時間短縮だけでなく、治療回数も少ない。
  • 施術後、すぐに歩いてご帰宅可能。
  • 施術後、弾性ストッキングを長期間着用する必要がない。
  • 痛みや出血などが少なく、日常生活へ早く復帰できる。
  • 傷口が小さく、目立たない。

デメリット

大きく拡張した静脈瘤の場合、期待する治療効果が望めない場合がある。
新しい技術であり、施術担当者の技量・経験値に結果が大きく左右される。

当院の治療について

当院の治療について当クリニックでは、下肢静脈瘤のレーザー治療の際に、局所麻酔と静脈麻酔を組み合わせています。ウトウトしているうちに治療が終了し、手術後の痛みも低減する麻酔です。
足に注射する局所麻酔だけで下肢静脈瘤のレーザー治療を行うこともできますが、その場合、局所麻酔の注入量が多く、麻酔注射時の痛みは軽減できません。また、治療中に緊張して血圧が上がる、脈が速くなる、筋肉に力が入ってしまうなど、身体に負担をかける可能性が高くなります。静脈麻酔を追加し、ウトウトしているうちに治療を行うことで、局所麻酔だけで行うより身体への負担は軽くなります。現在は麻酔のコントロール術が洗練されてきており、全身麻酔であっても身体への負担や危険性は大幅に下がっていますので、ご安心ください。