下肢静脈瘤の再発について
下肢静脈瘤では、手術や治療を受けても思うような効果が得られなかったり、数年後に再び静脈瘤が発生してしまう場合があります。こうした『再発』は、大きくわけて2つの原因で起こります。
適切な治療を受けたけれど、再発が起こった場合
治療を受けた際には正常だった静脈に、数年後、静脈瘤ができてしまうことがあります。適切な治療を受けて10年以上経過した場合、再発率は10～20%だとされています。また、以前行われていた高位結紮術の手術後にもこうした再発は起こりやすいです。
適切ではない治療を受けていた場合
治療すべき静脈瘤を見逃したり、進行した静脈瘤に硬化療法を行うなど、適切ではない治療を行ったことで再発するケースですこうしたことを避けるためにも専門医を受診するようにしましょう。
どのような再発であっても、当クリニックでは超音波検査で適切な診断の上、治療可能です。再発してしまったからと言ってあきらめず、ご相談ください。
再発の治療
再発の治療で重要なことは、超音波検査で正確な診断することです。すでに手術を受けたことがある場合、静脈は元の状態と変わっています。また、超音波検査で最初の治療の内容もわかります。中には以前に受けた治療内容として患者さまが医師から説明を受けたものとは違う治療が行われていることがわかる場合もあります。そのため、超音波検査を丁寧に行って正確に診断し、患者さまの状態に最適な治療法を選ぶ必要があるのです。
切らないで治す硬化療法
最初の手術で太い静脈が取ってありますので、再発の場合は細い静脈に静脈瘤ができていることがほとんどです。そのため、再発した静脈瘤に手術が必要になるケースは少なく、硬化療法で治療できる場合が多くなっています。また、従来の硬化療法より大幅に効果が高いフォーム硬化療法では、かなり重症の再発の治療も可能です。フォーム硬化療法は薬剤を静脈に注射するだけですので気軽に受けることができ、体への負担が少ないため日帰りで治療可能です。さらに、ご高齢の方でも安心して治療を受けられます。
レーザー併用硬化療法
再発の状態によっては手術が必要な場合もありますが、前回の手術の影響があるため血管の周囲が硬くなっており、通常より出血しやすく、十分な治療が行えない可能性があります。特に、足の付け根である鼠径部に行う高位結紮術後の再手術では、重要な血管が密集している場所ですから、とても難易度の高い手術となります。
当クリニックでは、血管内レーザー治療とフォーム硬化療法を組み合わせたレーザー併用硬化療法を採用しています。これは、手術中に重要な血管を傷つけたり、手術後の出血を起こす心配がない治療法です。レーザー治療なので、足のつけ根を切る必要がなく、細いファイバーを膝から入れて足のつけ根まで進ませ、血管の中から静脈瘤を焼いてふさぎます。足のつけ根にある細い血管は、レーザー治療の前にフォーム硬化療法を行って閉塞させ、再発を防ぎます。
