他院で1週間入院する手術を日帰りで大丈夫なのか、と不安な方もいらっしゃると思います。
しかし世界的には、欧米のみならず東南アジアを含めてソケイヘルニアの手術で1週間も入院している国は日本だけなのです。

実際に何らかのトラブルが起こるのは手術後数時間以内がほとんどで、それ以上長く入院しても、院内感染など他の問題を起こす危険性が高くなるだけなのです。
もちろん心臓病などの持病がある方や、独居で帰宅しても身の回りの世話をしてくれる人がいない方には、術後1泊していただいております。

そうした方でも1泊もすれば、翌日帰宅して不自由を感じることはほとんどありません。
またこちらから翌日に電話で経過のお問い合わせをしており、安心して自宅療養していただけます。手術翌日に来院する必要はありません。

術後の診察は手術の１週間後に行います。遠方の方には、インターネットを利用してパソコン画面で傷の状態などを確認しており、直接来院していただかなくてもいい体制を整えております。

2ヶ月程で溶けてなくなる糸を使用して、皮膚表面に糸がでない埋没縫合法で縫いますので抜糸はしません。
また皮膚切開部に生体用瞬間接着剤を塗布しますので、手術翌日からシャワーを浴びることができ、3日目から湯船につかって入浴できます。入浴時にビニールなどで創を覆う必要はありません。
またガーゼなどで創を覆うことはありませんし、自分で創を消毒する必要もありません。
手術１週間後に１回診察します。その時点で異常がなければ終了となります。

成長期の子供には、メッシュは使用しません。
高位結紮といわれるヘルニアの袋（ヘルニア嚢）を根本で縛って切る手術をおこないます。成長する過程で腹壁の弱い部分が自然に補強されるため、メッシュで腹壁を補強しなくても再発することはほとんどありません。

手術後の合併症（トラブル）には次のようなものがあります。

• 皮下出血
• 化膿（感染）
• 再発 約1％
• 神経損傷によるしびれ、痛み
• 不整脈、心筋梗塞、肺炎、脳卒中などの全身疾患

いずれも可能性はごくわずかでリスクの高い手術ではありませんし、手術の安全には十分に配慮しております。
しかし実際には合併症がゼロという手術はなく、その可能性については十分にご理解いただく必要があります。