大腸内視鏡検査で発見できる代表的な病気
大腸内視鏡検査で見つかる胃や十二指腸のおもな病気は、以下のようなものがあります。
- 大腸がん
- 直腸カルチノイド
- 直腸潰瘍
- 大腸脂肪腫
- 大腸憩室症
- 大腸メラノーシス
- 潰瘍性大腸炎
どんな病気なのか、それぞれについて見ていきましょう。
大腸がん
最新の統計(2016年)によると大腸がんはがんの死亡部位としては第2位で、死亡者数は増えています。女性ではすでにがん死亡部位の第1位ですが、2020年には男女とも1位になるといわれています。
死亡数増加の大きな原因が早期発見のしにくさです。早期発見に有効な大腸内視鏡検査が一般的に普及していないことも大きな要因の一つとしてあげられています。健康診断では便潜血検査が行われていますが、これは大腸がんを確実に判定できるものではありません。かつて死亡部位1位だった胃がんはピロリ菌の除菌など積極的な治療の普及によって減少傾向にあります。
大腸がんのリスクは40歳代以降確実に増します。40歳を過ぎたら定期的に大腸内視鏡検査を受けて、大腸がんリスクを早期に摘み取っていきましょう。
早期大腸がん
がんは粘膜表面に発生し、やがて深部に広がっていきます。まだ粘膜表面にあるのが早期がんです。大腸内視鏡による日帰り手術で切除することができます。
大腸がんは早期に発見して治療を開始すれば、ほぼ治る病気です。全国がんセンター協議会のデータによると5年相対生存率は、ステージⅠで97.6%、ステージⅡで90.0%と高いものになっています。
進行大腸がん
粘膜のより深い部分にがんが広がった状態で、他の臓器やリンパ節へ転移するリスクが出てきます。この段階になると入院しての外科手術、抗がん剤治療が必須となります。がんのステージによっては手遅れになることもあります(ステージⅣの5年相対生存率は20.2%)。
大腸ポリープ
大腸ポリープは粘膜が隆起してできた組織です。良性のものがほとんどでほぼ自覚症状がないのですが、放置しておくと腺腫ががん化するリスクがあるため前がん病変とされています。
大腸内視鏡検査でポリープが見つかった際にはその場で切除することもできます。
直腸カルチノイド
カルチノイドとは「がん(カルチ)に類する(ノイド)腫瘍ではあるが浸潤や転移がないもの」を指して命名されましたが、その後ある種のカルチノイドは浸潤や転移することがわかったため、いまでは「きわめて悪性度の低い悪性腫瘍」などといわれています。良性か悪性かは顕微鏡検査では判断がつかず経過観察が必要です。早期発見・早期治療が必要な病気の一つです。
直腸潰瘍
直腸に浅い潰瘍ができる病気です。加齢や栄養不足が関連しているとも考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。自覚症状はないことが多いのですが、まれに貧血になるほどの大出血を起こすことがあります。
大腸脂肪種
脂肪腫とはポリープの一種で脂肪が固まってできたものです。ごく稀な病気で良性と考えられていますが、腸重積症を引き起こしたり、鶏卵大に成長して腸閉塞症を引き起こしたりするリスクもあります。内視鏡による定期的な経過観察が必要です。
大腸憩室症
憩室とは腸管の一部が外側に袋状に飛び出したものです。ほとんど自覚症状はありません。症状がないケースでは治療の必要はありません。憩室が炎症を起こしたりすると腹痛や下血が見られることがあります。ただ、憩室が多くなるとポリープができやすくなるというリスクが指摘されています。
大腸メラノーシス
腸壁に色素が沈着し、黒ずんだりヒョウ柄のような模様が出たりする状態です。センナ、ダイオウ、アロエなどが含まれる大腸刺激性下剤・便秘薬を長期にわたって服用したことで生じることがほとんどといわれています。メラノーシスは病気ではありませんが、こうした成分を含んだ薬を使用し続けていると大腸が鈍感になって便秘薬が効きにくくなります。大腸刺激性の下剤・便秘薬以外の便秘治療をご提案いたします。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に炎症が起こり、潰瘍やただれができ出血を引き起こす慢性疾患です。難病に指定されていて今のところ完治する治療法はありません。下痢に伴って粘血便が見られるのが特徴です。
寛解期(症状が治まる)と再燃期(症状が出る)を繰り返します。重症化すると発熱や腹痛を伴うこともあり、大腸がんのリスクが高まります。