痛みがなく発熱もないといった場合
特に胆石の症状が現れていないとき、治療法としては3つの考え方があります。
- とりあえず様子を見る。
- 薬を服用して胆石を溶かす。
- 手術で胆石を取り出す。
この選択肢に関して、どれがベストかということはありません。
今まで胆石の痛みがなかったのに、様子を見ているうちに突然痛み出すようなこともあるのです。
といって、薬を服用していても、胆石が完全に溶ける確率は2年間の内服でわずか30%程度です。
胆石除去でもっとも確実な方法は手術による摘出ですが、これについては抵抗を感じる人がまだまだ多いようです。
ただ近年は腹腔鏡手術の技術が向上し、患者さんの負担はずいぶん少なくなっています。
痛みや発熱といった症状が出ている場合
痛みや発熱があるならば、手術しなければなりません。
こうした症状が一度でも出てくれば、その後治まったとしても多くは繰り返されるからです。
胆石除去の手術についていえば、近年は腹腔鏡手術が用いられるようになり、患者さんの負担がずいぶんと軽くなりました。
腹腔鏡とは、モニターを通してお腹の中を直接見ることのできる内視鏡です。
お腹を切らずに小さな孔を数箇所開け、そこから器具や内視鏡を入れてモニターを見ながら手術を行います。
腹腔鏡手術の利点は、身体を切る部分が非常に小さく回復が早い点にあります。
入院期間が短縮され、日帰りや一泊程度の入院で治療を終えることも可能になりました。
薬で胆石を溶かす
胆石があることがわかっていても、特に痛みや発熱がない場合は、薬で胆石を溶かすという治療法も考えられます。
この場合、ウルソという薬を用いますが、ただ確実に胆石を溶かせるというわけではありません。
15mm以下の胆石のある患者さんが2年間飲み続けたとしても、胆石が溶けてなくなる確率はわずか3割でしかないのです。
たとえうまく溶けてくれたとしても、服用を止めてしまうと、5年以内で約半分の人に胆石が再発するといわれます。
手術で胆のうを切除・摘出する
胆汁を溜めておく役割を持つ胆のうには、同時に胆汁の水分を吸収して濃縮する働きが備わっています。
しかし、胆のうを切除してしまうと、こうした働きを胆管が肩代わりするようになるので心配はいりません。
結石を取っても胆のうを残しておくと、後々再び胆石ができてしまう可能性があるので、標準的には胆のう摘出を行います。
なお、胆のうを取ってしまうと、しばらく軟便になることもありますが、これは1カ月ぐらいで正常に戻ります。
急性胆のう炎
急性胆のう炎は、胆石が胆のうの出口を塞ぎ、化膿してしまった状態です。
右側上腹部の持続的な痛み、また38℃以上の発熱があり、入院して治療しなければなりません。
治療に際しては、まず化膿止めの抗生物質の投与を行います。
食事は不可です。
発症後、3日以内であれば、緊急の手術は可能です。
ただし、炎症中の胆のうは腫れて充血しているため、腹腔鏡による手術が難しく、従来のように開腹しなければならないこともあります。
炎症がひどい場合は、胆のう内に管を挿入してドレナージし(溜まった膿を出す)、炎症を治めてから手術することもあります。
このような処置を行うため、少なくとも10日~2週間の長期入院が必要になってしまいます。
胆石があるものの、これまで何もなかった方が、突如として急性胆のう炎になってしまうことも決してまれではありません。