胆石とは
胆汁の成分が何らかの原因で胆のうや胆管内で固まってしまったものが胆石です。
胆石には、肝臓内にできた肝内結石、胆嚢(たんのう)内にできた胆嚢結石、胆管にできた胆管結石があり、こうした胆石ができる病気を総称して胆石症と呼んでいます。
- 「胆のう結石」
胆のう自体の中にできます。 - 「総胆管結石」
胆のう管と肝管が合流する総胆管内にできます。 - 「肝内結石」
胆管は肝臓の中にもありますが、その肝臓内の胆管にできるものです。
日本人の約10人に1人が胆石を持っているとされており、胆石症のうち約8割は胆嚢結石です。
胆石の原因
胆石症の最も大きな要因はコレステロールです。脂肪分の多い食事を摂ると胆汁に含まれるコレステロール量が増加し、それが結晶化につながります。また、胆汁に含まれるビリルビンという成分がカルシウムと結合し、それが結晶化して結石になることもあります。胆石症は体質的な要因によるものが主となっており、はっきりとした原因はわかっておらず、予防法もまだ確立されていません。
胆石の症状
胆のう結石の症状は、胆石発作(胆石疝痛)といわれる痛みです。 典型的には、夜中の2時頃に腹痛が始まり、我慢していると夜が明ける6時ごろに痛みが治まります。みぞおち付近から、右上腹部に痛みを感じます。重苦しいような鈍痛や、ときとしてのたうち回るくらいの激痛のこともあります。
上腹部、または背中が痛くなったとすれば、胆のうの出口に石ができ、詰まっていることが考えられます(胆石発作)。
また、高熱が出て激しい痛みが続いているとすれば、胆のう内で化膿している「急性胆のう炎」の可能性があります。
この場合、すぐに入院の措置をとる必要があります。
胆石の防ぎ方
胆石は、まずコレステロール過多の肥満気味の女性に多く見られます。
高コレステロールの食事の頻度が高いと、胆汁内のコレステロール量も過剰となります。
すると、コレステロールは溶けきれずに結晶化し、やがて結石となります。
このことからいえば、高コレステロール、高エネルギーの食事には注意すべきでしょう。
一方、栄養状態のよくない人も胆石になることがあります。
体の栄養状態が悪いと、胆汁成分のひとつであるビリルビンが変化してカルシウムと結合し、結晶ができやすくなるからです。
つまり、総合すれば日常的に栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切といえます。
胆石があると胆のう癌になりやすい?
結論から先にいえば、胆石と胆のう癌との関係は“無”ではないけれど、「癌になるかもしれないから胆石は手術するべき」というのはちょっと言い過ぎかもしれません。
胆のう癌の原因のひとつに胆石が挙げられるのは、胆のう癌の患者さんの7割に胆石が認められるからです。
しかし逆方向から見て、胆石を持っている方が胆のう癌になる可能性はどうでしょうか。
実はこの場合、わずかに1%程度なのです。
胆のう癌は、比較的発生頻度の小さい癌といえるでしょう。
それに対し、胆石は一般的で患者さんの数も多い疾患のため、このようにややこしい関係になったり誤解が生まれたりしているようです。
胆のう癌と胆石の関係を重大な交通事故に置き換えてみるとよくわかります。
胆のう癌が重大な交通事故、胆石が車の運転です。
車の運転(胆石)で重大な交通事故(胆のう癌)は起こり得ますが、しかし、車の運転(胆石)をする中で重大な交通事故(胆のう癌)を起こしたことのある人はごく一部です。
重大な交通事故(胆のう癌)の可能性があるからといって、車の運転(胆石)はすべてダメということにはならないのと同じです。
健康診断で胆のうポリープがあると言われた方へ
胆のうポリープは、現時点での大きさや大きくなっていく経緯によって治療方針が決まります。
1.ポリープが5mm以下の場合
半年~1年ごとの検査で経過を観察します。
2.ポリープが10mm以上の場合
悪性の癌という、悪い場合の可能性を考えます。
手術をお勧めしています。
3.ポリープが5mm以上10mm未満の場合
経過観察と手術の両方の選択肢があります。
経過観察中に大きくなるスピードが早ければ、悪性と判断して手術します。
これら以外にも悪性が疑われるような検査の所見があれば、たとえポリープが小さくても手術をしなければなりません。