手掌多汗症について
手掌多汗症とは、手のひらや足の裏などに汗を多くかく疾患です。
緊張している時や暑いときに手に汗が多く出ますが、緊張をしていない状態や涼しい時でも手にたくさん汗をかいてしまうこともあります。汗をかく量にも個人差があり、少し湿っている程度から、滴り落ちるほど大量に汗をかく人もいます。
手掌多汗症の原因として、手に分布する交感神経の活発化が関わっていると考えられています。交感神経は手の汗腺に作用して汗を出させる神経で、通常は緊張した時や、暑いと感じた時に活発化して汗が多くでるのですが、手掌多汗症ではこの交感神経が常に活発化しているために大量の汗をかいてしまうのです。なぜ手に分布する交感神経だけが活発化するのかはわかっていません。
手の汗腺そのものには異常はありません。
手掌多汗症の特徴
遺伝的に多い家系もありますが、家族の中で独りだけ手に汗が多く出ることもあります。10歳ごろまでに“他の人より手に汗が多い”ことを自覚する事が多いですが、成人してからストレスなどをきっかけに症状が出る事もあります。
また人種差もあり、黄色人種に比較的多いと言われています。日本人では約5%に認められます。小中学校の40人のクラスで平均して2人の同級生がこの症状で悩んでいるはずですが、誰にも言えずに隠している人も多いと考えられます。
汗を多くかく場所は手掌だけの方もいれば、足裏や脇の下などにも多い事もあります。
手掌多汗症の問題点とは
放置しても健康上の問題になる事はありませんが、日常生活をする上で不自由を感じている方は意外に多いのです(日本人の約5%に認められると言われています)
- ピアノの鍵盤や、パソコンのキーボードが汗で濡れてしまう
- 人と手をつなぐのが怖くてフォークダンスを踊れない、握手ができない
- 文字を書くとき紙が濡れてしまうので、手を紙から浮かして字を書く
- 常にハンカチを持っていないと不安
また手掌多汗症を理解している医師が少ないため、病院を受診しても、“年齢が若いためで年を取れば治ります”、“精神的なものですから安定剤で様子みましょう”、といったように適切な診断や治療を受けられないことも多いのです。
両親や兄弟が同じ症状で悩んでいる場合には相談に乗ってもらえることができますが、そうでない場合は“気にし過ぎ”とか“誰でもそのくらい汗は出るよ”といわれて周囲の理解が得られず、一人で閉じこもってしまう方も少なくありません。
二次性の多汗症とは
肥満、甲状腺機能亢進症、副腎機能亢進症(褐色細胞腫、クッシング症候群)などの疾患が原因で、汗が多く出る症状です。
この状態だと手のひらだけではなく、全身からの発汗が増えます。